日本国憲法の学習用に、「前文」について筆者の視点でまとめました。「理解すること」を目的としているため、ふりがなをつけるなど原文とは少し異なります。
参考にした書籍は、アマゾンのKindle版「日本国憲法」です。補足する形で同じくアマゾンのKindle版「あたらしい憲法のはなし」も参考にしています。どちらもパブリックドメインとなっているものです。
憲法について学ぶきっかけになれば幸いです。
日本国憲法 前文
前文(ぜんぶん)は、上諭(じょうゆ)の後、条文の前につけられている前書きのことです。
日本国憲法を誰がつくり、どのような考えでこの憲法の規則ができているか、ということなどが記されています。(あたらしい憲法のはなし 1.憲法「前文」参照)
「あたらしい憲法のはなし 1.憲法 前文」の説明によると、前文には2つの働きがあり、3つの大事な考え方があると書かれています。
2つの働きとは、
- 憲法の意味を知る手引きになる
- この憲法を変えるときに、前文に記された考え方と異なる考え方をしてはならない
ということです。
3つの大事な考え方は、
- 民主主義 − 日本国憲法の根本となる第一の考え
- 国際平和主義 − 世界中の国がいくさ(戦)をしないで仲良くやってゆくこと
- 主権在民主義 − 主権が日本国民にある(主権在民)という考え
と記されています。
以下は「日本国憲法の前文(ぜんぶん)」です。文中の漢数字は算用数字に変更し、ふりがなをつけて表示しています。ふりがなが不要な場合は、「ふりがな無し」タブをクリックしてください。(筆者の解釈は下にあります)
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢(けいたく)を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍(さんか)が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛(げんしゅく)な信託(しんたく)によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受(きょうじゅ)する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基(もとず)くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅(しょうちょく)を排除する。
日本国民は、恒久(こうきゅう)の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高(すうこう)な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義(しんぎ)に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制(せんせい)と隷従(れいじゅう)、圧迫と偏狭(へんきょう)を地上から永遠に除去しようと務めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免(まぬ)かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
筆者の解釈
各単語の意味から、「前文(ぜんぶん)」の解釈をしてみたものを掲載します。
日本国民である筆者が、「日本国憲法を読んで理解した内容」という位置づけです。
筆者は、「自分で考える」ことが大変重要だと考えているため、専門家の解釈は採っていません。また、解釈する人により「思想の癖」があらわれると、自分自身の解釈がゆらぎ、判断が鈍ることも懸念しており、はじめは自分自身で独自に単語の意味を調べて解釈してみよう、と思ったわけです。
筆者は、歴史的観点からも、法律的観点からも素人であり、正式な解釈とは異なるかもしれません。正式な解釈や見解をお知りになりたい場合は、専門的な書籍などでご確認ください。
※以下は筆者の「言葉から読み取るだけの純粋な解釈」です。大方の意味は相違ないとは思いますが、この解釈を法律の意味合いとしての解釈とはとらえないようにご注意ください。下の解釈を熟読してから「前文の原文」を読むと、原文のままでなんとなく読めるようになります。そこから、歴史観点でみたり、法律観点から見たり、日本の現状から見たりなど深く理解していくことで、「現在の憲法を守る」のが最善なのか、それとも、「憲法を改正する」のが最善なのか、自分自身がどう思い、どう考えるかの学びを深めていけると思います。(憲法は、最終的には私たち国民が投票して決まるのですから)
日本国民は、正当に選挙された「国会における代表者」を通じて行動し、私たちと私たちの子孫のために、様々な国の国民が心を合わせた成果と、わが国全土にわたって自由がもたらす恩恵を手に入れ、政府の行為によって再び戦争の残酷な災いが起こることがないようにすることを決意し、ここに「主権が国民に存する」ことを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国の政治は、国民から厳かに信用され、委託されたことによるものであって、国の政治の権威は「国民」に由来し、国の政治の権力は、「国民の代表者」がこの権力を行使し、その(国の政治の権力を行使した結果生じる)幸福と利益(人々の生活の質を向上させるための施策や制度)は「国民」がこれを受けとる。これは人類に広く共通する原理であり、この憲法は、これに関係する原理に基づくものである。私たちは、これに反する一切の憲法、法令、および、天皇の命令を伝える文書を排除する。
日本国民は、久しく変わらない永遠の平和を一心に望み、願い、人間相互の関係を支配する「尊く気高い理想」を深く自覚するのであり、平和を愛する様々な国の国民が公正であり、約束を守り、道義的な務めを果たしていることを信頼して、私たちの安全と生存を保持しようと決意した。私たちは、平和を維持し、「政治を独断でおこなうこと」と、「支配を受け、言いなりになること」、「押さえつけたり、圧力を加えること」と、「狭い考えに囚われること」を地上から永遠に除去しようと務めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。私たちは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免除され、平和のなかで生存する権利を有することを確認する。
私たちは、どの国家でも、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、「国を治めるということは、善悪をわきまえながら正しい行動をすること」、という法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信じる。
単語の意味
以下は、筆者自身が「意味を明確に言語化できない」または「意味が分からない」単語について調べ、忘れないように記録したものです。
- 前文(ぜんぶん):上諭(じょうゆ)の後、条文の前につけられている前書き。日本国憲法を誰がつくり、どのような考えで憲法の規則ができているか、ということなどが記されている
- 正当(せいとう):正しく、道理にかなっていること。正直で真面目なこと。正しい系統、血筋。
- 道理(どうり):物事を進行するための正しい筋道、またその理由。
- 諸(しょ):多くの。色々な。
- 諸国(しょこく):様々な国々。多くの国。色々な国。あらゆる国
- 国民(こくみん):国家を構成する人。その国に属する人。その国の国籍を持つ人。
- 協和(きょうわ):心をあわせて仲良くする。(音などが)うまく合っている。
- 全土(ぜんど):国土全体。
- 国土(こくど):一国の統治権の及ぶ範囲の土地、領土。
- 恵沢(けいたく):恩恵。恩恵を受けること。
- 恩恵(おんけい):恵み。利益。好ましい結果。好影響。他者や外部環境からもたらされる恵みや利益、好ましい影響。
- 確保(かくほ):確実に手に入れること。失わないようにしっかりと保つこと。
- 政府(せいふ):国の政治をおこなう統治機関。日本では内閣と各省庁と行政機関を指す
- 惨禍(さんか):天災や戦争などによる、目を向けられないような痛ましい不幸。惨(むご)い禍(わざわい)。
- 惨い(むごい):見るに耐えないほど痛ましい。悲惨。無慈悲。残酷
- 禍(わざわい):予期していない災難や不幸。災い。天災。
- 国政(こくせい):国の政治
- 厳粛(げんしゅく):厳かで心が引き締まるさま。真剣で厳しいさま。重大で動かしがたいさま
- 厳か(おごそか):礼儀正しく近寄りがたい様子。厳しく重々しい様子。
- 信託(しんたく):手続きや決定などを、個々の契約によらず包括的に信用する他者に委託すること
- 権威(けんい):他者を服従させる威力。優れたものとして信頼されている事や人
- 由来(ゆらい):物事の始まりの原点や起源。背景や道理
- 起源(きげん):物事の始まり。源。
- 福利(ふくり):幸福と利益。人々の生活の質を向上させるための施策や制度
- 享受(きょうじゅ):受ける。受け取る。受け入れる
- 普遍(ふへん):広く共通すること。広く行き渡ること。
- 原理(げんり):全ての現象を成立させる基本法則。根本の理論。根本的な法則
- 法則(ほうそく):守らなければならない決まり。規則。掟。ある状況下で物事の間に成立する普遍的、必然的な関係
- かかる(かかる):関係する。このような。
- 詔勅(しょうちょく):国の主権者である天皇の命令を伝える文書。みことのり。
- 恒久(こうきゅう):久しく変わらないこと。永久。永遠。
- 念願(ねんがん):強く望み願うこと。一心に願い望むこと。ひたすら思い願うこと。
- 崇高(すうこう):尊く気高いこと。
- 信義(しんぎ):信を守り義をおこなうこと。約束を守り、相手に対する道義的な務めを果たすこと
- 専制(せんせい):上に立つ人が独断で思うままに取り計らうこと。政治を独断でおこなうこと
- 隷従(れいじゅう):誰かの支配に属して言いなりになること。他に隷属すること。
- 隷属(れいぞく):他の支配を受け、言いなりになること
- 圧迫(あっぱく):強い力で押さえつけること。圧力を加えること。心理的精神的に威圧感をあたえること。
- 偏狭(へんきょう):狭い考えに囚われること。度量の小さいこと。ものの見方や考え方が偏っている様子
- 名誉(めいよ):能力や行為について、優れた評価を得ること。社会的に優れていると認められる価値。
- 免かれ(まぬかれ):危険な目に合わず逃げる。免除される。避けて関わらない。(免(まぬが)れ)
- うちに(うちに):間に。している間に。ある状態になる前に。
- いづれ(いづれ):そのうち。どちらにしても。どちらにせよ。いずれにしても。どこ。どちら。(いずれ)
- 政治道徳(せいじどうとく):政治の方針において、道徳に背かないようにすること。政治における道徳
- 道徳(どうとく):人間が善悪をわきまえながら正しい行動をするために守らなければならない決まり
【第1章 天皇】に続きます。
考察、所感、記録など色々
「純粋に、憲法に書いてある内容を理解する」ことを目的としているので、基本的に、「各単語の意味」だけを調べていますが、その中でも不明に感じたり、疑問に感じることなどがどうしてもでてくるため、気にになったことを記録として記しておきます。
筆者自身が色々学んでいく中で、今後、はっきりと結果が出たり、理解ができたものは加筆修正、または、別のページを作成したりして情報や知識を共有する予定です。
解釈のいろいろ。違い
※1:単語の意味を調べるうち、専門家の解釈や意見などを知る機会がでてきましたが、どうやら憲法の解釈は1つだけではないようです。
その「解釈の違い」が、「憲法改正」や「護憲」などの意見の相違となっていると感じました。ということは、この解釈の違いこそが重要なことなので、後々、調べてまとめたいと思います。
筆者が感じた解釈の相違
- 単純に言葉の意味を並べるだけの解釈(本ページはこれを重要視してします)
- 日本からみた解釈
- 世界から見た解釈
- 米国から見た解釈
- 戦前、戦後など、戦争から見た解釈
- 敗戦国として見る解釈
- 思想から見た解釈
- 歴史から見る解釈
- 憲法の英文から翻訳した解釈
- 法律的な観点から見た解釈
以下は解釈の異なりを知るきっかけになったサイトです。忘れないようにメモしておきます。他にもあったのですが、メモするのを忘れてしまいました。
- 憲法前文について知っていることを書いてみた(https://go2senkyo.com/seijika/184652/posts/533103)
- 英語版「日本国憲法」に挑戦!現代語訳と見比べながら前文を読んでみよう!(https://ej.alc.co.jp/tag/CULTURE/20210503-book-constitution-japan)
- 帝国憲法改正案(憲法改正第一號(ごう))(https://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/04/128/128tx.html)
憲法を簡単に語る危うさ
憲法について話したり、議論するとき、簡単な気持ちで、適当に、耳障りのよい文言を並べて解釈したり、意味を理解するのは危ないなぁと感じました。
「○○さんがこう言っているから、これが正しい!」「○○さんがこう言ってるから、それは間違い!」とか、
「○○派だから、正しい!」「○○派だから、間違っている!」とか、
「〇〇だから憲法改正が正しい!」「〇〇だから憲法を護る!」など、
一言で語れるほど、単純ではないし、簡単な問題ではないと強く感じました。【改憲派と護憲派の比較】
【第1章 天皇】に続きます。

