大日本帝国憲法を学ぶ − 第1章 天皇 −

目次

大日本帝国憲法 第一章 天皇

「第一章 天皇」は、天皇について書かれている章です。第17条まであります。

文中の漢数字は算用数字に、カタカナはひらがなに変更しています。よみがな付きで読みたい場合は、「よみがなあり」タブをクリックしてください。

第1条 大日本帝国万世一系の天皇之を統治

第2条 皇位皇室典範の定むる所に依り皇男子孫之を継承す

第3条 天皇は神聖にして侵すへからす

第4条 天皇は国の元首にして統治権を総攬し此の憲法の条規に依り之を行ふ

第5条 天皇は帝国議会協賛を以て立法権を行ふ

第6条 天皇は法律を裁可し其の公布執行命す

第7条 天皇は帝国議会を召集し其の開会閉会停会及衆議院の解散を命す

第8条(1) 天皇は公共の安全を保持し又は其の災厄を避くる為緊急の必要に由り帝国議会閉会の場合に於て法律に代るへき勅令を発す

  (2) 此の勅令は次の会期に於て帝国議会に提出すへし若議会に於て承諾せさるときは政府は将来に向て其の効力を失ふことを公布すへし

第9条 天皇は法律を執行する為に又は公共安寧秩序保持し及臣民の幸福を増進する為に必要なる命令を発し又は発せしむ但し命令を以て法律を変更することを得す

第10条 天皇は行政各部の官制文武官俸給を定め及文武官任免す但し此の憲法又は他の法律に特例を掲けたるものは各々其の条項に依る

第11条 天皇は陸海軍統帥

第12条 天皇は陸海軍の編成及常備兵額を定む

第13条 天皇は戦いをし及諸般条約を締結す

第14条(1) 天皇は戒厳宣告

   (2) 戒厳の要件及効力は法律を以て之を定む

第15条 天皇は爵位勲章及其の他の栄典を授与す

第16条 天皇は大赦特赦減刑復権命す

第17条(1) 摂政を置くは皇室典範の定むる所に依る

   (2) 摂政は天皇の名に於て大権を行ふ

筆者の解釈

各単語の意味から、「第1章」の解釈をしてみたものを掲載します。

臣民である日本国民(筆者)が、「大日本帝国憲法を読んで理解した内容」という位置づけです。

筆者は、「自分で考える」ことが大変重要だと考えているため、専門家の解釈は採っていません。また、解釈する人により「思想の癖」があらわれると、自分自身の解釈がゆらぎ、判断が鈍ることも懸念しており、はじめは自分自身で独自に単語の意味を調べて解釈してみよう、と思ったわけです。

筆者は、歴史的観点からも、法律的観点からも素人であり、正式な解釈とは異なるかもしれません。正式な解釈や見解をお知りになりたい場合は、専門的な書籍などでご確認ください。


大日本帝国憲法 第1章 天皇

第1条 大日本帝国は、万世一系の天皇がこれをを統治する

第2条 皇位皇室典範の定める所により、初代神武天皇から続く皇統の男系男子がこれを継承する

第3条 天皇は神聖であり、侵してはならない

第4条 天皇は国の元首であり、主権者として国の政治をとる権利を一手ににぎり、統括し、この憲法の条文の規定や規則により、これを行う

第5条 天皇は、帝国議会賛同や協力をもって立法権を行う

第6条 天皇は法律を判断、許可し、その公布および執行命じる

第7条 天皇は帝国議会を召集し、その開会、閉会、停会および衆議院の解散を命じる

第8条(1) 天皇は公共の安全を保持し、または、その災厄を避けるため、緊急の必要により、帝国議会閉会の場合においては、法律に代るべき勅令を発する

  (2)この勅令は次の会期において帝国議会に提出しなければならない。もし、議会において承諾しなかった場合、政府は、将来的にその効力を失うことを公布しなければならない

第9条 天皇は法律を執行するために、または、公共安寧秩序保持し、および、臣民の幸福を増進するために必要な命令を発し、または、発せさせる。ただし、命令をもって法律を変更することはできない

第10条 天皇は、行政各部の組織、名称、設置、構成権限などの規定、および、文官と武官俸給を定め、および、文官と武官任免する。ただし、この憲法、または、他の法律に特例を掲げているものは、各々、その条項による

第11条 天皇は陸軍と海軍統べて率いる

第12条 天皇は陸軍と海軍の編成、および、万一のために備える軍人の定数を定める

第13条 天皇は戦いを宣告し、争いをおさめるために必要な手段や措置をとり、および、様々な種類条約を締結する

第14条(1) 天皇は、戒厳戦争、自然災害、暴動などの緊急事態時に、憲法や法律の一部の効力を停止し、立法権、司法権、行政権の一部または、全てを軍隊の指揮下に移行し、委ねること)を宣告する

   (2)戒厳の要件、および、効力は、法律をもってこれを定める

第15条 天皇は、爵位勲章、および、その他の栄典を授与する

第16条 天皇は、大赦特赦減刑、および、復権命じる

第17条(1) 摂政を置く場合は、皇室典範の定める所による

   (2) 摂政は、天皇の名において、大権を行う

単語の意味

以下は、筆者自身が「意味を明確に言語化できない」または「意味が分からない」単語について調べ、忘れないように記録したものです。

  • 大日本帝国(だいにっぽんていこく):1889年の「大日本帝国憲法」制定から、「日本国憲法」の施行(1947年)までの天皇を元首とする国家、日本の国号。
    • 元首(げんしゅ):国の首長
      • 首長(くびちょう・しゅちょう):集団や組織を統率する長
  • 万世一系(ばんせいいっけい):皇室皇統の血統が永久に一つの系統で途切れることなく続くこと(近代に生まれた言葉)
  • 統治(とうち):まとめ治めること。
    • 治める(おさめる):統治する。主権者として国の政治をとる。混乱した状態を鎮める。
  • 皇位継承(こういけいしょう):前天皇から皇位を受け継ぐこと。(皇位を踏む)
    • 皇位(こうい):天皇の地位。
  • 皇室典範(こうしつてんぱん):皇位継承など皇室に関する事項を規定した法律。明治22年(1889年)に制定された。
    • 皇室(こうしつ):天皇および皇族の総称
    • 皇族(こうぞく):天子、天皇の一族
  • 皇男子孫(こうだんしそん):祖宗皇統における男系の男子
    • 祖宗(そそう):君主始祖中興の祖。歴代の君主や系統を伝える人の称。祖先、先祖
      • 君主(くんしゅ):世襲により国家や領地を統治する最高位にある人のこと
        • 世襲(せしゅう):地位、身分、財産、職業などをその家の子孫が代々継承すること
      • 始祖(しそ):ある家系の最初の人、ある物事を最初に始めた人
      • 中興(ちゅうこう):一旦衰えたり途絶えたりしたものを再び盛んにすること
    • 皇統(こうとう):天皇の血統。天皇の血筋を引く人。皇系。
  • 神聖(しんせい):神のように霊妙で尊いこと。厳かでおかしがたいこと。清浄でけがれがないこと
  • 総攬(そうらん):一手ににぎり、統括すること
    • 統括(とうかつ):ばらばらに分かれているものを一つにまとめること
  • 条規(じょうき):条文の規定や規則
  • 帝国議会(ていこくぎかい):大日本帝国憲法で設置された議会。二院制(貴族院と衆議院)の立法機関。
    • 衆議院(しゅうぎいん):「第3章 帝国議会」参照
  • 協賛(きょうさん):その趣旨に賛同し、協力すること
  • 裁可(さいか):判断し、許可すること
  • 公布(こうふ):成立した法令を国民に広く周知させること
  • 執行(しっこう):執り行うこと。法律などを実際に実現すること
  • 命(めい)す:命令する。命じる。任命する
  • 公共(こうきょう):社会一般。公衆が共有すること。
    • 公衆(こうしゅう):社会一般の人々。組織化されていない集団。不特定多数の人々。など
  • 保持(ほじ):保ち続ける。持ち続ける。
  • 勅令(ちょくれい):天皇が直接発する命令や法令
  • 安寧秩序(あんねいちつじょ):国が乱れることなく治まり(平和で)、決まりが守られていること
    • 安寧(あんねい):国や社会が穏やかで安定し、無事で安らかなこと
    • 秩序(ちつじょ):物事を行うときの正しい順序や道筋。決まり。
  • 臣民(しんみん):天皇、皇族、公族以外の者。日本国民
  • しむ(しむ):させる。
  • 得(え)す:できない。(得ず)
  • 官制(かんせい):行政機関の組織、名称、設置、構成、権限などを定めた規定
  • 文武官(ぶんぶかん):文官(ぶんかん)と武官(ぶかん)
    • 文官(ぶんかん):官吏(かんり)のうち武官(ぶかん)以外の者。事務官、技官など
    • 武官(ぶかん):国家や君主から軍人に命じられた者。軍人の官職。
    • 官吏(かんり):公法上の任命行為に基づいて任命され、官公庁や軍などの国家機関に勤務する者
  • 俸給(ほうきゅう):国の官吏に与えられる報酬
  • 任免(にんめん):職務に任命(にんめい)することと罷免(ひめん)すること。任ずることと免ずること
    • 任命(にんめい):官職や役目に就くように命じること。職務につかせる。(任ずる)
    • 罷免(ひめん):官職や役目から強制的に退かせること。職務をやめさせる。(免ずる)
  • 陸海軍(りくかいぐん):陸軍海軍を総じた呼び方
    • 陸軍(りくぐん):主に陸上での戦闘を主な任務とし、軍事作戦を遂行する軍備・軍隊の総称
    • 海軍(かいぐん):主に海上で艦船による戦闘を主な任務とし、軍事作戦を遂行する軍備・軍隊の総称
  • 統帥(とうすい):全員をまとめ、率いること。軍隊を(す)べ、率いること
    • 統(す)べる:全体をまとめて支配する。
    • 率(ひき)いる:従えて行く。ひきつれて行く。
  • 常備兵額(じょうびへいがく):万一のために備える兵卒の定数
    • 常備(じょうび):万が一のために常に備えておくこと
    • 兵額(へいがく):兵卒(軍人、戦士)の員数。兵士。兵員。
  • 宣(せん)する:広く告げ、知らせる。一方的に重大なことを言い渡す。(宣告
    • 宣告(せんこく):告げ知らせること。
  • 和(わ):日本的な。やわらぐ。おだやか。仲良くする。争いをおさめる。合わせる。整う。調和する
  • 講(こう)じる:講義する。目的を達成するために必要な手段や措置をとる行為
  • 諸般(しょはん):物事の様々な方面。種類。色々。様々
  • 条約(じょうやく):国家間や国際機関の間で取り交わす合意文書。箇条書きの約束。
  • 戒厳(かいげん):戦争時、自然災害、暴動などの緊急事態のときに、憲法や法律の一部の効力を停止して、立法権、司法権、行政権の一部又は全部を軍隊の指揮下に移行、委ねること。厳重に警戒すること。軍事法規のひとつ。(基本的人権を制限することが可能になる)
  • 爵位(しゃくい):華族(かぞく)の等級。
    • 華族(かぞく):明治時代初頭から第二次世界大戦の敗戦直後まで、日本に存在した貴族(きぞく)階級。公家(くげ)武家(ぶけ)に代わる、明治政府が設けた身分制度。
      • 貴族(きぞく):身分や家柄の尊い人。社会的な特権を世襲(せしゅう)している上流階級に属する人。
      • 公家(くげ):日本において、朝廷に仕える貴族や上級官人の総称。
      • 武家(ぶけ):日本において、軍事を主務とする官職をもった家系、家柄の総称。
  • 勲章(くんしょう):国家に対する勲功(くんこう)功労(こうろう)を表彰して授けられる記章(きしょう)公共のために尽くした事柄や国民栄誉をたたえて国家から授けられる記章(きしょう)
    • 勲功(くんこう):国家や君主に尽くした功労。手柄や功績などに対する褒美。
    • 功労(こうろう):功績(こうせき)と、そのための努力
      • 功績(こうせき):国や社会などに対して、個人や集団が成し遂げた成果や貢献
    • 記章(きしょう):職業、身分、所属などを示すためにつけるしるし。バッジ。
  • 栄典(えいてん):国家が、国家や公共に対する功労や社会に対して優れた行いのあった人物を表彰する制度
  • 大赦(たいしゃ):政令で定めた罪について、有罪判決前の場合は控訴権を消滅させ、有罪判決後の場合は、判決の効力を失う
  • 特赦(とくしゃ):刑の言い渡しの効力がなくなること
  • 減刑(げんけい):刑種が軽くなる、刑期が短くなるなど
  • 復権(ふくけん):一度失った権利などを回復すること
  • 摂政(せっしょう):天皇が幼少や病弱などで政務を行うことができない場合に、天皇に代わって政治を執り行う人
  • 大権(たいけん):君主の政治的な権限

【第2章 臣民権利義務】に続きます。

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