昭和22年(1947年)、文部省から発行された「あたらしい憲法のはなし。10.内閣」をまとめてみました。「あたらしい憲法のはなし」はパブリックドメインなので、アマゾンや青空文庫などで無料で読むことができます。ぜひ、原本を読んでみることをおすすめします。
憲法について学ぶきっかけになれば幸いです。
内閣とは?
「内閣」は、国の行政を受け持つ機関です。
「行政」とは、立法(国の規則をつくる)と、司法(裁判をする)を除いた国の仕事をまとめていいます。
国会は、国民の代表によって国を治めてゆく機関ですが、たくさんの議員でできているし、また、一年中開いているわけにもいかないため、日常の仕事や細々した仕事は、別に役所をつくり、ここで取り扱ってゆきます。
その役所の一番上にあるのが、「内閣」です。
内閣の構成
内閣は、内閣総理大臣と国務大臣とからできています。
内閣総理大臣
「内閣総理大臣」は、内閣の長で、内閣全体をまとめてゆく、大事な役目をします。
内閣総理大臣に誰がなるかということは、たいへん大事なことですが、あたらしい憲法は、内閣総理大臣は、国会の議員の中から、国会が決めて、天皇陛下に申し上げ、天皇陛下がこれをお命じになることになっています。
国会で決めるとき、衆議院と参議院の意見が分かれたときは、衆議院の意見どおりに決めることになります。
内閣総理大臣を国会で決めるということは、衆議院でたくさんの議員をもっている政党の意見で決まることになりますから、内閣総理大臣は、政党から出ることになります。
国務大臣
国務大臣は、「国の行政を受け持つ」という役目があり、「各省大臣」になる人と、「国の仕事全体を見てゆく国務大臣」とがあります。
国務大臣は、内閣総理大臣が、自分で選んで国務大臣にします。
国務大臣の数の半分以上は、国会の議員から選ばなければなりません。
各省大臣
「各省大臣」とは、国務大臣の中から選出された「国の役所」の長です。
国務大臣の中から、大蔵省、文部省、厚生省、商工省などの国の役所の長になって、その役所の仕事を分けて受け持つ人が決まります(※1)。
内閣と政党
内閣総理大臣が政党から出る以上、国務大臣も自分と同じ政党の人からとることが、国の仕事をやってゆくうえで便利です。
同じ政党
そのため、国務大臣の大部分が同じ政党から出ることになります。
別の政党
1つの政党だけでは、国会に自分の意見を通すことができないと思ったときは、意見の違う他の政党と組んで内閣を作ります。
このときは、それらの政党から、みな国務大臣が出て、一緒に、国の仕事をすることになります。
政党の人ではない人
また、政党の人でなくとも、国の仕事に明るい人を国務大臣に入れることもあります。
政党内閣
民主主義のやり方は、結局、政党が内閣をつくることになり、政党から、内閣総理大臣と国務大臣の大勢が出ることになります。
これを「政党内閣」といいます。
内閣の仕事
内閣は、国の行政を受け持ちます。
また、天皇陛下が国の仕事をなさるときには、これに意見を申し上げ、また、御同意を申します。
内閣の責任
そうして自分のやったことについて、国民を代表する国会に対して、責任を負うのです。
連帯して責任を負う
これは、内閣総理大臣も、他の国務大臣も、みな一緒になって、責任を負うのです。
ひとりひとり別々に責任を負うのではありません。
これを「連帯して責任を負う」といいます。
内閣を信用しない − 不信任決議
国会(衆議院)では、内閣が悪いと思えば、いつでも「もう内閣を信用しない」と決めることができます。
これは、衆議院だけができることで、参議院はできません。
なぜなら、国民のその時々の意見が映っているのは衆議院であり、また、選挙のやり直しをして、内閣が、国民に、どちらがよいかを決めてもらうことができるのは、衆議院だけだからです。
衆議院が内閣に対して、「もう内閣を信用しない」と決めることを「不信任決議」といいます。
不信任決議の流れ
衆議院での不信任決議が決まったときは、内閣は天皇陛下に申し上げ、10日以内に衆議院を解散していただき、
- 選挙のやり直しをして国民に訴えて決めてもらうか、
- 辞職するか、
のどちらかになります。
また、「内閣を信用する」ということ(これを「信任決議」といいます)が、衆議院で反対されて、だめになったときも同じことです。
議院内閣制度
このように、あたらしい憲法では、内閣は国会と結びついて、国会の直接の力で動かされることになっており、国会の政党の勢力の変化で、変わってゆくのです。
つまり、内閣は、「国会の支配の下にある」ことになります。
これを「議院内閣制度」とよんでいます。
このように、民主主義と政党内閣とは、深い関係があるのです。
国会と内閣と裁判所の関係図
(さいごに、「あたらしい憲法のはなし10.内閣」の挿絵にある、国内の機関の関係図を画像のコピーではなく、表にしたものを掲載します)
| 衆議院 | 信任不信任を決議する➡ ⬅衆議院の解散を決める | 内閣 | |
| 国会 | 法律をつくる➡ 内閣総理大臣を指名する➡ | ||
| ⬇裁判官を選ぶ | ⬆法律を守る | ||
| 法律をつくる➡ ⬅法律を調べる | 裁判所 | ||
| 参議院 | |||
国は旧字体の「國」、条は旧字体の「條」、戰は旧字体の「戰」、応は旧字体の「應」、与えるは「與える」、争いは「爭い」、気は旧字体の「氣」、団は旧字体の「團」から変更しています。
※1:当時の名称です。

