昭和22年(1947年)、文部省から発行された「あたらしい憲法のはなし。6.戦争の放棄」をまとめてみました。「あたらしい憲法のはなし」はパブリックドメインなので、アマゾンや青空文庫などで無料で読むことができます。ぜひ、原本を読んでみることをおすすめします。
憲法について学ぶきっかけになれば幸いです。
戦争は終わりました。
皆さんの中には、こんどの戦争に、お父さんやお兄さんを送り出された人も多いでしょう。ご無事におかえりになったでしょうか。それとも、とうとうおかえりにならなかったでしょうか。
また、空襲で、家やうちの人をなくされた人も多いでしょう。
いま、やっと、戦争は終わりました。二度とこんな恐ろしい、悲しい思いをしたくないと思いませんか?
当時、中学1年生の子どもたち(生徒)に向けられて書かれた文章
戦争で得られたもの
こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったでしょうか。何もありません。ただ、恐ろしい、悲しいことが、たくさん起こっただけではありませんか。
戦争で失ったもの
戦争は人間を滅ぼすことです。
世の中のよいものを壊すことです。
だから、こんどの戦争を仕掛けた国には、大きな責任があるといわなければなりません。
二度と戦争はしない
この前の世界戦争のあとでも、もう戦争は二度とやるまいと、多くの国々では色々考えましたが、またこんな大戦争を起こしてしまったのは、誠に残念なことではありませんか。
そこで、あたらしい憲法では、日本の国が、決して二度と戦争をしないように、2つのことを決めました。
戦力の放棄
その1つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさい持たないということです。
これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。
これを戦力の放棄といいます。「放棄」とは、「すててしまう」ということです。
しかし皆さんは、決して心細く思うことはありません。
日本は正しいことを、他の国より先におこなったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。
戦争の放棄
もう1つは、よその国と争いごとが起こったとき、決して戦争によって、相手を負かして自分の言い分を通そうとしないということを決めたのです。
穏やかに相談をして、決まりをつけようというのです。
なぜならば、いくさ(戦)を仕掛けることは、結局、自分の国を滅ぼすようなはめになるからです。
また、戦争とまでゆかずとも、国の力で、相手を脅すようなことは、一切しないことに決めたのです。
これを戦争の放棄というのです。
そうして、よその国と仲良くして、世界中の国が、良い友達になってくれるようにすれば、日本の国は、栄えてゆけるのです。
皆さん、あの恐ろしい戦争が、二度と起こらないように、また戦争を二度と起こさないようにいたしましょう。
国は旧字体の「國」、条は旧字体の「條」、戰は旧字体の「戰」から変更しています。
※このページ「6.戦争の放棄」も、表現に対しての『想い』を感じるため、あまり文章をいじらずにまとめました。戦争を経験した人だけが理解できる「心情」を、簡単に言い換えたりしないように心がけています。
※日本人でありながら、「日本の歴史」について、学校で教わった「お勉強」としての認識しか持たない人が多いのではないでしょうか。私もそのひとりです。なぜ戦争が起こったのか、どうして戦争をしなければならなかったのか、なぜ、戦争で命がなくなってしまったのか、と問われたとき、いま、とっさに説明できる言葉を私は持ちません。これから本当の日本の歴史について学ばなければいけない、と強く感じました。

