昭和22年(1947年)、文部省から発行された「あたらしい憲法のはなし。7.基本的人権」をまとめてみました。「あたらしい憲法のはなし」はパブリックドメインなので、アマゾンや青空文庫などで無料で読むことができます。ぜひ、原本を読んでみることをおすすめします。
憲法について学ぶきっかけになれば幸いです。
空襲の跡地から
空襲で焼けたところへ行ってごらんなさい。
焼けただれた土から、もう草が青々と生えています。みんな生き生きとしげっています。草でさえも、力強く生きてゆくのです。
ましてや皆さんは人間です。生きてゆく力があるはずです。天から授かった自然の力があるのです。
この力によって、人間が世の中に生きてゆくことを、誰も妨げてはなりません。
当時、中学1年生の子どもたち(生徒)に向けられて書かれた文章
人間らしく生きてゆく
焼けただれた土から、力強く草が生えるように、人間も力強く生きていくのです。
そして、「ただ生きてゆく」というだけではなく、「人間らしい生活」をしてゆかなければなりません。
「人間らしい生活」に必要なもの。それは、「自由」と「平等」です。
自由
ここでいう「自由」とは、「人間の自由」のことで、好きなところに住み、好きなところに行き、思うことを言い、好きな教えに従って生きてゆけることをいいます。
「自由は決して侵されるものではない」として、基本的人権が決められました。
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平等
「平等」とは、「差別のないこと」をいいます。私たちは人間である以上、皆同じです。
「皆、同じ人間であるならば、この世に生きてゆくのに、差別を受ける理由はない」として、基本的人権が決められました。
【さらに詳しく】
基本的人権
日本国民は、あたらしい憲法で、「基本的人権」というりっぱな強い「権利」を与えられました。
「基本的人権」とは、一番大事な「人間の権利」のことです。
基本的人権の「一番大事な権利」は3つあり、「自由権」と「請求権」と「参政権」に分かれています。
あたらしい憲法には、この、「基本的人権」を侵すことのできない永久に与えられた権利として記されています。
権利とは
「権利」とは、国の規則の上で、何か、はっきりと、「できること」が認められていることをいいます。
そしてその基本的人権の権利である「自由権」と「請求権」と「参政権」について、はっきりとできることが記され、認められているのです。
自由権
「自由権」は、自由と平等がはっきりと認められ、この自由と平等が侵されない権利をいいます。
自由と平等(自由権)は、私たち日本国民の権利です。「自由権」は、人間の一番大事な権利です。
(自由権だけで、人間の国内での生活がすむものではありません。権利は他に、請求権や参政権があります)
自由
あたらしい憲法は、「自由は決して侵すことのできないものである」と決めています。
人間がこの世に生きてゆくからには、自分の好きなところに住み、自分の好きなところに行き、自分の思うことを言い、自分の好きな教えに従ってゆけることなどが必要です。
これらのことが人間の自由であり、この「自由」は決して奪われてはなりません。
また、国の力でこの自由を取り上げ、やたらに刑罰を加えたりしてはなりません。
あたらしい憲法は、私たちの基本的人権として、
- 自分の思うことを言い、
- 自分の好きなところに住み、
- 自分の好きな宗教を信じ、
- 能力に応じて教育を受け、
- 政治に参加する。
などの権利を保証しています。
平等
差別のないことを「平等」といいます。
また、私たちは人間である以上、皆同じです。
人間の上に、もっとえらい人間があるはずはなく、人間の下に、もっといやしい人間があるわけはありません。
男が女よりもすぐれ、女が男よりもおとっているということもありません。
皆、同じ人間であるならば、この世に生きてゆくのに、差別を受ける理由はないのです。
あたらしい憲法は、「自由」と一緒に、この、「平等」ということを決めています。
請求権
「請求権」は国に対して請求できる権利をいいます。
たとえば、「教育を受ける権利」や「裁判を請求する権利」です。
教育を受ける権利
国民は、教育を受ける権利を憲法で与えられています。
国民は、勉強をしてよい国民にならなければなりません。
国は、国民に勉強をさせるようにしなければなりません。
国民から国に対して、「教育をしてもらう」ことを請求できるのです。
裁判を請求する権利
国民は、裁判を請求する権利を憲法で与えられています。
争いごとなどが起こったとき、国の裁判所で公平にさばいてもらうのは「裁判を請求する権利」です。
「裁判を請求する権利」は、基本的人権であり、これも請求する権利(請求権)です。
参政権
「参政権」は、国民が、国を治めることに色々関係できる権利です。
参政権は、
- 国会の議員や知事や市町村長などを選挙したり、
- 自分が国会の議員や知事や市町村長になったり、
- 国や地方の大事なことについて投票したりすること。
などで、これらは皆、国民が、国を治めることに関係できる権利です。
「参政権」も、大事な基本的人権です。
基本的人権の保証
あたらしい憲法は、「基本的人権」を、侵すことのできない永久に与えられた権利として記しています。これを、「基本的人権を保証する」といいます。
基本的人権を守る責任
基本的人権を与えられた日本国民は、自分でしっかりと「基本的人権」を守り、失わないようにしてゆかなければなりません。
しかしまた、むやみにこれを振り回して、他の人に迷惑をかけてはいけません。
他の人も、皆、同じ権利を持っていることを忘れてはなりません。
国全体の幸福になるよう、この大事な「基本的人権を守っていく責任がある」と、憲法に書いてあります。
国は旧字体の「國」、条は旧字体の「條」、戰は旧字体の「戰」、応は旧字体の「應」、与えるは「與える」、争いは「爭い」から変更しています。

