27.地球と魂の世界の視点の違い
地球には、「モノ」が存在します。あなた方個魂は、その「モノ」の在る世界で生きるために、「肉体」という物質的な身体に宿っています。
その肉体を維持するために、食欲や、睡眠欲、その他の様々な欲を必要としながら、地球で生命を営みます。生きるために必要な「欲」は、さまざまな働きをもたらしますが、幸せや不幸の感情も、「欲」からもたらされる場合が多いものです。
【感情の意味】
人生のシナリオに書き込まれている、ある一つの出来事について、地球の視点と魂の世界の視点の違いを観てみましょう。
例:リストラによる貧困
○○さんは、ある日突然、会社からリストラされてしまいました。
リストラされる理由は見当もつきません。
真面目に働き、会社の利益が上がるために貢献してきました。部下からの信頼も厚く、上司からも将来を期待されていました。
○○さんは、健康的で、朗らかで、とても優しく、思いやりのある人です。同僚や部下、上司までもが、○○さんのリストラを取り消してもらおうと会社と掛け合い、何度も話し合いの場が持たれましたが、結局、「退職する」という結果となりました。
そこからが大変でした。
○○さんの就職活動はうまくいかず、それが原因で体調を崩し、「生きていくこと」自体がままならなくなってしまったのです。
『このままでは、生きていくことができない・・・』最悪の事態を想定し、気持ちはどんどん落ち込むばかりです。
地球の物質的な視点
「どうしてこんなことになってしまったのだろう」
入社してから今まで、一生懸命に働いてきました。不正をしたことは一度もありません。「それなのに、、、なぜだ?なぜなんだ?」どうしてこんなにも不幸なんだ!どうしてこんなに、運が悪い人生なんだ!
就職活動もうまくいかず、体調も悪化しているので、つらい人生、つらい状況を恨みたくなるのです。貯金も底をつきそうです。今後の人生、どう生きていけばよいのかわかりません。
病院にいき、薬を処方してもらいましたが根本的な解決にはなりません。カウンセリングも受けました。しかし、親身になって話は聞いてもらえるものの、状況は一向に変わりませんでした。
もちろん、○○さんは、就職活動をずっと続けていました。しかし、雇用してくれるところはなかなか見つからないのです。藁にも縋る思いで、占いや心霊相談などにも行くこともありました。
「あなたはずいぶんと身勝手な人のようです。前世の悪行の報いだから仕方ない。あきらめて報いを受けなさい」だとか、「ご先祖様の供養が足りない」などと言われたので、言われた通り、助言されたことを懸命におこないましたが、一向に状況は変わりませんでした。
精神的にも、肉体的にも追い詰められ、最悪の結果を招く危険性を生じ始めてしまったのです。
魂の世界の視点
次は、同じ状況を魂の世界からの視点で観てみましょう。
「なぜだかわからないけど、退職することになった」
○○さんにとって、理由もわからない出来事で青天の霹靂ですが、素直に受け入れてみることにしました。
「就職活動も・・・ダメだった」
就職活動もうまくいきませんでした。再就職が決まらない理由が何かあるのでは?と思いつつも、できる限りの最善を尽くしているのでどうすることもできません。
「お金もない。仕事もない。不安から体調を崩してしまった。これからどうすれば・・・」
○○さんは、このとき、人生の行き詰まりを感じていました。
「もう、どうにでもなれ!」
一種の開き直りともいえるような気持ちになり、今までずっと夢に見ていた希望を、行動してみることにしたのです。
「仕事はないけど時間はある!仕事が見つかるまでの間、やりたいことをやってみよう」「誰かに馬鹿にされてもいい。うまく行くか、行かないかなんて、誰にもわかるわけがないんだ」「このまま何もかもが無くなって、人生の最期を迎えなければならないとしたら、無念ばかりが残ってしまう…」
○○さんは、人生の最期を意識したことで、「夢に見ていた、やりたかった事」に気がついたのです。「夢」に気づいたおかげで、○○さんは、次に何をするのかが分かり始めてきました。
行政に相談したり、就職活動と通院を続けながら、空いた時間に「夢だった事」を行動し続けたのです。
するとどうでしょう。様々な出来事が重なり、発展して、最終的には○○さんの「本職の仕事」となったのです。
○○さんは、こう言いました。『あのときは、人生の終わりを感じていたけれど、思い返すと、あの出来事のおかげで今があるんだなぁ』と。
○○さんは、『~せねばならない』という気持ちに囚われすぎずに、思考と行動を転換することができたので、その後の出来事に対しても柔軟に対応することができ、過去の不幸な出来事に感謝するほど、幸福感を感じるようになったのです。
「不幸」があなたへ贈る導きなのかもしれません
このようなことは、地球上ではよくあることです。あなた方が思い描いている夢や希望とは全く異なる現実かもしれません。
地球上で言われている「当たり前」は、実は当たり前ではなく、地球の視点では説明ができない、とても神秘的で不思議な導きがあるものです。
魂の世界で決めた人生のシナリオには、はっきりと「その新しい仕事」に就くことが書き込まれていました。そして、この仕事に就く前にしなければならない「経験」も書き込まれていたのです。
その「経験」をするために、リストラされた会社に籍を置く必要がありました。その後、すべての経験と体験を終了したので、魂の世界から次の道が示されたのです。
次の道に進むためには、「退職」しか選択肢はありません。まじめに働いて人望も厚いので、自ら退職することは絶対にないのです。退職するために「リストラされる」ことしか選択肢がなかったのです。
そしてまた、退職後の苦しみも、人生のシナリオに書き込まれていました。「苦しみを知る」ことが、新しい仕事には必要だったのです。そして、生きることに不安を感じるほどまでに追い詰められてしまった○○さんですが、今まで我慢してきた「夢」をふと思い出すことができ、「開き直り」という勢いに任せて、余計な不安などを考えることなく行動に移すことができたのです。
魂の世界にいたころは、この一連の流れを知っていた個魂ですが、地球に生まれることで、魂の記憶を封印され、不安と恐怖に負けて、挫けそうになりながらも、人生のシナリオに導かれながら、生き続けることができたのです。
現実的な不安に襲われながらも、「夢だった事」をしているときは、同じ類の苦労や苦痛を感じているはずなのに、不思議と幸福感や充実感を感じるのです。
その仕事に就かなければ、個魂は役割を遂行することができませんでした。
○○さんは、ここからが地球での人生の始まりといっても過言ではないのです。何十年間も勤めている会社を辞めざるを得ないときは、とてもつらかったことでしょう。
その後、就職活動がうまくいかずに就職先が決まらなかったことにも、とても焦りを感じたことでしょう。身体が動かなくなり、先々の不安が頭をよぎると、本当に苦しかったと思います。
しかし、魂からのメッセージや導きを素直に受け取り、行動し、実行に移せたことで、○○さんは、満たされた幸せな人生を送るようになりました。
とはいえ、「何不自由ない幸せ」というわけではありません。トラブルや、寝る時間を割いてまで仕事をするという「活動に従事しなければならない」ことも多く、日々、倒れそうになりながらも、どうにか毎日を生きているのです。
『しんどいなぁ。つらいなぁ』とぼやくことも多々ありますが、それでも、魂の役割を遂行している○○さんの魂はとても充実し、幸せを感じているのです。
「欲」の眼で見るか、魂の心で観るかの違い
このように、苦痛に満ちた人生を送らざるを得なくなったとき、受け止め方と、その後の歩み方で、あなた方は「幸せ」にも
「不幸」にも感じ取ることのできる選択肢を持っています。
選択肢といっても、迷いのある個魂へは常に魂の世界から導きのメッセージが送られていますので、いずれ、人生のシナリオへと導かれていくものなのですが、その過程へたどりつくまで長引くこともあるのです。
「欲の眼」で見る場合
あなた方は、地球で生きるために肉体に宿っている魂「個魂」です。物質的な地球で生きるために、肉体的な身体のシステムとして「欲」を組み込まれています。
「欲」は、生きるために必要なものですが、欲の眼で物事を見ると、「楽」や「益」は、幸せと感じ、「苦」や「損」は、不幸と感じるものです。
その「苦」や「損」を幸せに転嫁するために、「魂の修行」や「カルマの解消」などの思想が生まれましたが、その思想でさえ、「苦」や、「損」を消すことを目的として、「楽」や、「益」を得ようとしているのです。
「苦」や、「損」を消したいと思えば思うほど、また、「楽」や、「益」を欲しいと思えば思うほど、苦しみが増し、悩みが増えていくものなのです。
魂の心で観る場合
地球という物質的な世界で生きるために肉体的思考で物事を考えるので、つらく苦しく感じることは自然な感情です。しかし、魔法のように、あなた方の物質的な欲を満たし、物質的な幸せをもたらしてくれる神様はいません。
肉体的な「欲」は、とどまることを知りません。そのような膨れ上がる「欲」を都合よく叶えてくれる神は存在しないのです。
また、人生のシナリオはあなたへのギフトでもあるので、あがいても、嘆いても、逃げても、人生のシナリオは変更されません。
地球の人々は、○○さんのように、半ば諦めの気持ちも手伝って初めて、魂の心で観ることができるようになることも多いものです。
魂の心で観るようになると、ひらめきにより、「したかった夢や希望」に気がついたり、偶然、見聞きしたことが、その後の行動のきっかけとなったり、出会った人との縁で、偶然、新しい始まりがあったりと、「偶然」や「よくわからないけど…」、「たまたま」などと言われているような形で、ふと、あなたに、必要な物事が表れ始めるのです。
その物事を素直に受け入れることができれば、必要な時に、必要な物事が次々と現れはじめます。
そのように、ひとつひとつメッセージを受け取り、導きを受け入れながら行動を続けていくと、やがて、ふと気づいた時には、あなたは人生のシナリオとともに歩み、魂の充足感と魂の幸せの感情を手に入れているのです。
魂の喜び
あなた方個魂は、役割を遂行する喜びを知っています。肉体的な喜びではなく、魂の喜びです。
個魂は、役に立つこと、調和することが大好きです。地球で生きていくために「欲」は必要ですが、「欲」に振り回されることが少なくなると、不幸を感じる感情が減っていきます。そして、幸せを感じる頻度が増えていくのです。
地球で、人生につまづいたときには、地球の物質的な視点を魂の視点に変えて、物事を観るようにしてください。おのずと、
不幸の感覚の中に、希望の光が見えてくるでしょう。
苦痛に満ちた人生をどのように受け止め、どのような行動に移すのかは、あなた次第なのです。
次回は『人生はギフト。シナリオの軌道を知る方法』についてのお話です。
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